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経営評価委員会開催状況平成29年度

平成29年度 第1回(平成29年7月13日(木))

会議全体風景 委員質問風景 答弁風景

1. 理事長挨拶

 平成30年度からの新たな国保制度について、「国保基盤強化協議会の事務レベルワーキング」において議論を重ねており、6月5日に「国保事業費納付金ガイドライン」が改正され、東京都においては、東京都国民健康保険連携会議を通して、納付金や標準保険料率の算定などに係る検討が進められていると聞いている。
 本会では、昨年度から引き続き、東京都から受託している「国保事業費納付金等算定標準システム」を適切に管理・運用していく。また、国保の被保険者資格を都道府県単位で管理するための「国保情報集約システム」については、6月から区市町村との運用テストを開始している。いずれにしても、円滑な制度施行に向け、東京都及び各保険者の皆様との連携を密にしながら、着実に準備を進めていく。
 7月4日に公表された「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」の主な内容は、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)を活用して、5年後までに審査の9割程度をコンピュータで行い、業務の効率化を目指すなどとしている。また、常勤医師、看護師等の医療専門職の採用を行い、1割程度を職員のチェックで完結させ、審査委員による審査は重点審査分の1%以下とすることを目指すとしている。
 なお、計画には「国保中央会と国保連合会も同時並行的に支払基金における改革と整合的かつ連携して取り組みを進める」と明記されていることから、今後、国保中央会を中心として国保独自の業務効率化計画・工程表を取りまとめることになると思われる
 このような情勢の中、本会では、第3次経営計画の目標達成に向け鋭意取り組んでいる。
本日は、第3次経営計画の中間年度となる平成28年度における各計画事項の取り組み実績について、何とぞ十分なご審議を賜りたい。

2. 議事

  • 平成28年度における年度総括及び外部評価について
    平成28年度における第3次経営計画の執行状況について実施主管部長から報告後、委員から説明内容に対する質問があった他、ご意見等をいただいた。
  • 平成28年度決算について
    出納室から平成28年度の決算報告を行った。

3. 委員からの主要質問

  • 計画№1-1-1「審査の充実」について、審査委員間における審査情報の共有の強化を図っていくとあるが、医科部会・歯科部会合わせて250名近い審査委員に対し、どのように効果的に情報の共有強化を図っていくのか。
  • 計画№1-2-3「第三者行為損害賠償請求収納事務の受託範囲拡大」について、自転車事故に関しては、28年4月から事務処理が開始されているが、この受託開始に向けて、どのような取り組みを行ってきたのか。また、保険者からの主な相談内容はどのようなものなのか。今後、件数が増えていくと思うが、どのような対応を考えているか。
  • 計画№1-2-2「保険者が行うデータヘルス計画に係る支援」の評価支援に関して、地域の現状に関するデータは取れていると思うが、東京都という特徴のない地域の比較検討がどのくらいできているのか。また、ビッグデータを活用したデータヘルス改革に関して、国は、業務集団から自ら考え自ら行動する頭脳集団に改革しなければいけないと言っているが、国の動きに合わせて、東京都としてはどのように考えて動いているのか。
  • 計画№2-2-1「人材育成基本方針に基づく人材育成」について、再任用制度に関して、どれくらい確保できて、それが実際の業務にどれくらい役立っているのか。また、有給休暇の取得率は前年度と比べてどのくらい伸びたのか、あるいは働きやすい環境条件を作ったことによってワーク・ライフ・バランスが取れているのか。
  • 計画№1-1-1「審査の充実」及び計画№1-1-2「審査事務共助の充実」に関して、減点点数の目標値を入院と外来に分けているが、入院の目標についてはやや達成されていないというところがある。その理由などについて分析した結果はあるのか。
  • 計画№1-3-2「介護給付適正化システムの有効活用による介護給付適正化の推進」に関して、今年度の研修について、具体的にどのようなスケジュールで行っていくのか。

4. 質問に対する回答

  • 審査委員間の審査情報の共有は、これまでどおり、審査委員会の全体会議の中で審査事例等を発表していくということが第一となる。さらに、審査委員個々に対応していくという事が重要であり、これについては地道に確実に行っていく。審査情報等については、画面審査システムの電子審査録機能を活用し、審査委員がいつでも簡単に審査情報の閲覧を可能とし、審査内容の確認ができる環境をきっちり整えることで、審査委員間の情報共有の強化を図っていきたいと考えている。
  • 受託開始に向けては、平成27年12月に発出された国の通知にて、国保連合会に対する体制強化が示されたことを踏まえ、平成28年1月に損害保険会社OBの方を専門員として1名雇用する等、自転車事故の受託を見据えた体制強化を図った。
    2点目について、保険者からの主な相談内容は、保険者では事案により自ら対処している場合があり、その場合、保険者が損害保険会社と直接過失割合の交渉を行うこととなる。自転車事故の場合、実際の事故と一致する判例が少ないため、過失割合の協議において判断等に苦慮していると聞いており、本会にて蓄積した自動車事故の判例等を参考とし、また、専門員の助言、指導、及び顧問弁護士の見解等をもとに協議方法等の助言をした。
    3点目について、今後、自転車の利用機会が増え、自転車事故も増加していくことが想定されるので、今まで以上に積極的に保険者事務処理の支援、それは講習会の開催等も含め、また、連合会においてもさらなる体制強化を図り、今後増える事案に対処していく。
  • KDBシステム等で、国保、介護、健診データ等を集め、都内のこの地区は糖尿病が多い、高血圧が多いという特徴をシステムの中で掴んでいる。今回、保健師が保険者に伺った時に、そういった状況を掴みながら、健康まつり等に行って個別の対応をしている。それ以外にも、保険者の立てた計画についてきめ細かく保健師がサポートし、また委員会でもサポートしながら取り組んでいる。 2点目については、今般、厚労省から「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」が公表された。既に国保中央会の方にビッグデータ利活用推進委員会が設置されており、そこで、国保全体としてどうしていくか、これから協議していく。厚労省の方でもビッグデータに関する検討会があり、その中で、KDBをどうやって生かしていくかはこれから検討していく課題となっている。
  • 再任用制度については、平成29年4月から実施している。4月に4人を再任用として雇用した。保険者にどう影響が出ているかということはまだ計り知れていないが、再任用制度が始まる前は再雇用という名称で退職した職員を雇っており、今まで蓄積されたノウハウをしっかり持っていて、そういう人材を有効活用しているということでかなり仕事には有益と感じている。
    有給休暇については、休暇取得計画表を作成し、個人個人が事前に計画表に休暇取得日を記入している。この計画表は、各課でも職員が見られるようになっており、職員同士の休暇が重ならないように取得している状況である。有給休暇は、1月1日が付与日なので、6月までの上半期で見ると、昨年に比べて今年は1日増えている。若干、効果が出てきていると考えている。
  • 平成28年度に出来高請求から包括請求、いわゆるDPCに変更になった医療機関が6医療機関あり、この6医療機関の査定減点数が、前年度比月平均で127万点ほど落ち込んでいる。入院の減点点数が目標に届かなかったのは、この点数ではないかというのが分析結果として出ている。
  • 保険者説明会のスケジュールについては、8月に事業者の動向を分析するモニタリングシステムの機能と操作の説明会を開催する。また、9月から10月までの間に適正化システムから提供される各種帳票の活用事例の説明会を実施する予定としている。出前研修については、来月から2保険者程度を訪問する計画を立て、今年度は15保険者を訪問する予定としている。また、東京都の介護保険業務の技術的助言の訪問予定があるため、一緒に訪問する予定としており、現時点で3保険者を共に訪問予定としている。

平成29年度 第2回(平成29年12月15日(金))

会議全体風景 委員質問風景 答弁風景

1. 理事長挨拶

 来年度からの財政運営の責任主体を都道府県とする新たな国保制度については、施行まであと4か月となった。本年11月には第2回目となる東京都国保運営協議会が開催され、東京都国保運営方針(案)が審議・了承された。今後、東京都は国保運営方針を年末までに決定し、また、納付金や標準保険料率については、年末に国から示される本係数に基づき算定し、来年1月に公表する予定となっている。
 本会としても、円滑な制度施行のため、東京都及び各保険者と更に連携を強化し、国保事業費納付金等算定標準システム及び国保情報集約システムの運用管理等について、着実に準備を進めて参りたい。
 本年7月に厚労省と支払基金が公表した「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」を受け、10月に公表した「国保審査業務充実・高度化基本計画」の主な内容について、審査基準の差異解消に向け、8割の国保連合会が採用する審査基準を全国統一ルールにすることや、国が予定しているレセプト様式の見直し及び審査基準の明確化と合わせてコンピュータチェックで完結させる割合を高めていくこととしている。
 今後、厚労省・支払基金・国保中央会の3者による連絡会議を通じて、さらに具体的な検討が行われるので、適宜、委員の皆様にご説明申し上げる。
 このような情勢の中、本会の第3次経営計画の第1期実施計画の取り組みも最終年度となった。各担当部署では目標達成に向け鋭意取り組んでいる一方で、次の第2期実施計画についても、現在、策定作業を進めている。
 本日は、最終年度となる平成29年度の上半期における各計画の取り組み実績について、何とぞ十分なご審議を賜りたい。

2. 議事

  • 平成29年度上半期における執行状況及び外部評価について
    平成29年度上半期における第3次経営計画の執行状況について、実施主管部長から報告後、委員から説明内容に対する質問があった他、ご意見等をいただいた。

3. 委員からの主要質問

  • 計画№3-2-1「国保総合システムの機器更改に係る次期国保総合システムへの移行」について、現在、計画の進捗状況はどのようになっているのか。
  • 計画№1-1-1「審査の充実」について、支払基金の「業務効率化・高度化計画」において、ICTやAIを利用して5年後には審査の9割程度をコンピュータで行うという方針が出され、その計画では国保中央会も国保連合会も同時並行的にそのような改革を行っていくという話があったが、9割程度をコンピュータで審査できる見通しや可能性はあるのか。
  • 計画№2-2-1「人材育成基本方針に基づく人材育成」について、職員研修を活性化するためにどのような工夫をされているのか、また、研修の実施結果についてどのような評価を全体としてされているのか。
  • 計画№1-1-1「審査の充実」について、審査基準の統一に関し、審査基準そのものが医学の進展によって変わることが当然あると思うが、基準が追っかけて変わってきてしまうと簡単に統一はできないのではないか、むしろ、逐次、医療技術等の新しい動向を審査委員が共有していくという形でないと審査は難しいのではないかと思うが、それらについてどのように考えているか。
  • 計画№1-3-2「介護給付適正化システムの有効活用による介護給付適正化の推進」について、給付実績を活用した情報等、保険者の活用が進んでいない情報について、国保連合会として保険者に具体的な活用方法を示していくことについて、どのような考えを持っているか。

4. 質問に対する回答

  • 現在の状況としては、運用テストを継続して実施している。年明けには、最終的な運用テストを開始して検証していく。データ移行については、年末年始に移行リハーサルを実施し、2月下旬以降の本番移行に備えて参りたい。
  • 本会としては、蓄積されたレセプトデータをAIが判断して、そこで完結するということではなく、あくまでも審査委員と事務方の職員、そしてAIが一体となって審査を進めていくということで、機械だけで完結するということは多少あっても、5年後に9割というのはちょっと厳しいのではないかと認識している。
  • 研修は、グループディスカッションやグループワークを取り入れて実施しており、一方通行で聞いているだけの研修にならないようにしている。評価について現在は実施していないが、研修後にアンケートをとり、その結果を次年度以降の研修に活かしている。毎年の様々な課題について、研修担当の方で色々考えながら企画している。
  • 審査基準の統一について、国保中央会では各国保連合会の審査基準を吸い上げ、集約して整理し、それが全国の審査委員の会長が集まる会議で承認されると全国の基準となっていく。これから47都道府県の審査委員会で基準を作っていくが、その基準は個々の患者の病態などもあり、細かく気を使って作っていかないと作れない。その基準を国保中央会にいくつあげられるかが今後重要になっていくと考えている。国の通知で基準としてあがれば、通知を展開するということは簡単にできると考えている。まず、47都道府県の国保連合会の審査委員会が独自の審査基準を丁寧に作っていくところにかかっているのではないかと考えている。
  • 本会としても、提供情報については保険者にとってできるだけ使い易くなるよう、保険者を積極的に訪問して要望を聞いて対応できるところは対応していきたいと考えている。

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